'06北陸新幹線高岡駅周辺まちづくり研究会報告

- 第6回北陸新幹線高岡駅周辺まちづくり研究会 -

高岡南部地域活性化協議会

日時  平成18年9月5日14:00〜
場所  高岡テクノドーム2階研修室


第 6 回北陸新幹線高岡駅周辺まちづくり講演会

 
 

第1部
演題  「能登・金沢から視る北陸新幹線高岡駅」
講師  (株)計画情報研究所社長、北原良彦氏

北原良彦氏(経済研究所社長)

要旨
少し辛口で話をしたい。能登に住む家内に「新幹線駅について高岡で話してくる」と言ったら、「高岡に駅が出来るが?」と言う。能登ではそれほど高岡のイメージは薄い。情報もなければ、交流もあまりないからだ。北陸新幹線新高岡駅の説明をすると、今度は「なんで、今の駅と一緒にせんが?」と。一方、金沢にある私の会社で高岡のことを聞くと、多くは「産業の町」といったイメージであり、「遊びには行かない。目的がない」という。

 ここで、観光というものを考えてみたい。和倉温泉には1日平均4千人が訪れる。使うお金は1人平均2万5千円。つまり、1日1億円だ。これに対し、合併前の七尾市民は約5万人で1日2千円使うから1億円であり、観光客が落とす金額と同じだ。また、能登は和倉、輪島など1割の人が観光、もしくは観光に近いところで商売している。観光が地域経済に及ぼす影響の大きさが分かる。

 富山県経済界へのアンケートによると、北陸新幹線開業で想定される状況は、「観光客が増える」、「ビジネス客が増える」というのが1、2位を占める。それを契機に取り組むべきことでは、「新たな観光資源・ルートの提案」「新幹線駅周辺の整備」「企業誘致」の順。観光振興につなげるために必要なのは、「新幹線駅と観光地を結ぶ公共交通網の整備」がトップ。ついで「県内観光地の景観・施設整備」、「富山の食のアピール」などとなっている。ちなみに、富山のグルメマップを金沢の本屋で買おうとしても売っていない。5番目には「隣県を含む広域観光ルートの開発」を挙げている。飛越能、金沢を含めた視点が必要だということだ。

 新幹線駅周辺にあればよい施設としては、「大型駐車場」「飲食機能」など。この大型駐車場だが、金沢では駅で切符を買うと1泊8百円とか千円で停められる。これとどう競争するかだ。

 さて、旅行をする場合、どのようなポイントで旅先を決めるかという統計がある。これによると、1位は料理、2位はアクセスのよさ、3位が費用だ。つまり、「うまい」「はやい」「安い」であり、普通の商品と同じだ。4−7位の観光施設、温泉、宿泊施設、景色・風景・自然−というものも品質、つまり「うまい」に相当するだろう。

旅行に出るきっかけは「テレビを見て」が47.8%、「ポスターやパンフレットを見て」が40.1%、「友人・知人からの評判を聞いて」が39.2%となっている。いかにプロモーション媒体が重要か、が分かるだろう。

 旅行に行った先のテーマ別都道府県ランキングのトップ10によると、「美味しい食べ物が多かった」は1位が福井、2位が石川だが、富山はランク外だ。「魅力ある特産品や土産物が多かった」では、1位が沖縄、2位が京都、7位に石川で、やはり富山は入ってこない。魅力ある宿泊施設でも1位大分、2位沖縄、5位に石川。「地元の人のホスピタリティを感じた」は1位沖縄、2位宮崎など九州・東北が上位で、北陸は出てこない。

 別のデータで、石川県を訪れた観光客を分析すると、石川に来て富山に寄る客は8.1%となっている。富山県は、この数字を10とか12に上げていく必要があるだろう。

 金沢は、昨年初めて観光戦略を立てた。新幹線開業をにらんでのことである。周辺地区を4つに分けて整備しているが、金沢駅北ではイオン系のフォーラスが計画されている。これは売り場面積4万平方メートルで、いわば金沢の大和が2つ入るほどの大型のショッピングセンターだ。雨に濡れることなく、駅と結ぶことになっている。ほかに低未利用地の活性化、商業重心の移動に対する配慮、鉄道利用の交流拡大などを図ることをうたっている。

 観光戦略の基本テーマは「もてなす」(交流の推進)、「しつらう」(環境の整備)、「ふるまう」(魅力の提供)、「しらせる・うける」(情報の受発信)だ。県と金沢市が観光で初めてタッグを組んだ。能登も七尾、輪島、珠洲とばらばらの観光協会だったが、能登空港開港を機に合体して能登半島広域観光協会をつくった。これからプロモーションしていく。

 さて、富山県西部地域のことだが、総務省の自動車利用圏域人口によると、新高岡駅(仮称)は62万8310人で、金沢駅の70万9480人に次ぐ規模であり、富山駅の53万5273人をしのぐとなっている。しかし、新高岡駅の数字はどう見ても甘い。能越道が七尾まで延伸するのは新幹線開業とほぼ同じころで、約30分で高岡と結ばれるから、七尾の人は新高岡駅を利用する可能性は高い。しかし、羽咋となると苦しいし、輪島や珠洲の人は金沢に出たほうが速くて楽。駐車料金が安いとかアクセスがいいとか、何らかのメリットがないと高岡は人を呼べない。

 最後に新高岡駅を活用した観光交流への提言をしておきたい。まずはプロモーション活動だ。イベントの場合、かかる費用と同じくらいのプロモーション費用をかけないとダメだと言われる。それと同じである。10億かけるならプロモーション費用も10億。つまりプロモは50%である。そして、前述した「はやい」「安い」「うまい」を実行し、ターゲット戦略を練ることである。

 ターゲットしては、金沢へ来る観光客を呼び込むこと。それには高岡へ来る「旅の物語」が必要。能登へ来る観光客の呼び込みにはアクセス確保が求められるし、「高岡IN・能登OUTのルート設定」、「高岡から能登への連続する物語」が必要だ。

 高岡の「うまい」は何か?となると、@商業・アミューズメント施設(イオン、おとぎの森)A歴史の物語(瑞龍寺、金屋町、古城公園)B信仰の物語(瑞龍寺、妙成寺、永光寺、総持寺、大乗寺)C万葉の物語(大伴家持)D鉄道の物語(支線の旅・終着駅物語・廃止路線物語)E北陸の城(高岡城、小丸山城。城山、金沢城など)F都市公園の魅力(都市公園を訪ねて)G北陸の食文化(能登・金沢の人からは見えない高岡の食文化)が挙げられる。

 新駅と現駅の問題については、2核2軸で考える。2核とは言うまでもなく現高岡駅と新駅周辺のこと。誰が何のために利用するかを明確に打ち出すべきだ。2軸とは公共交通軸(鉄道・バス)と自動車軸である。そして2核の間は住宅地域、瑞龍寺、都市公園。この1.5キロは歩くにはつらい距離であり、歩かせる仕掛けがあるのかどうかを含めて考えていかなくてはならない。

 

第2部
演題  「高岡現駅−新駅1.5キロ区間のまちづくりデザイン」−土地利用と景観をリンクしたまちづくり−
講師  日本経済研究所調査局研究主幹(元日本政策投資銀行富山事務所長)高橋啓氏

高橋啓氏 (日本経済研究所
調査局研究主幹)

要旨
新高岡駅周辺整備の着眼点として、3つの視点から考えたい。まずは現高岡市街と連絡交通手段、新高岡駅舎の機能・構造・デザイン、そして新高岡駅周辺の街づくり−である。

 高岡というまちは、歴史的に移動してきたと言っていい。最初は港町・伏木として、である。ついで城下町として、さらに新産業都市・高岡として。そして21世紀都市・高岡だ。港からどんどん内陸に入ってきたと言っていい。

 高岡のまちのイメージは、現駅以北が「海のまち」・「テクノロジーのまち」・「生産+歴史のまち」。新駅以南は「森のまち」・「感性のまち」・「生産+自然のまち」である。これから導き出される新駅周辺のシンボルは「自然・サステナブル(コンパクト)・デザイン・散居村・森・山」だ。

 新駅と現高岡市街との連絡交通手段として、まず理想の姿は@氷見線・万葉線と相互乗り入れ可能となった城端線の活用A能越連携軸の推進。これは新駅が高岡だけでなく射水、氷見、砺波を含む連携拠点であることからくる。いずれもポイントは運行頻度と新幹線との接続性にある。

 次善の姿としては、氷見線と城端線の直通化だ。ともに電化されておらずディーゼルのため環境問題としては問題ありだが、最近では菜の花プロジェクトで生まれたバイオフューエルディーゼルカーもある。また、架線なしで走れる電車(燃料電池LRV=ライトレールビークル)も開発されている。川崎重工が開発中のものは、ニッケル水素電池で10キロ以上充電なしで走行可能。JR東日本も燃料電池と蓄電池のハイブリッド鉄道車両を開発し、2007年から本線で実験走行すると報道にあった。

これからのキーワードは「環境に優しい」ということで、氷見線・城端線も将来はこうした車両の導入を図るべきだろう。

私の提案だが、新駅と現駅の1.5キロ区間に電気バスを走らせてはどうかと思う。東京では大手町・丸の内・有楽町地区で「丸の内シャトル」と呼ばれる電気バスが無料で走っている。企業の寄付金などで運行されているもので、車両はニュージーランド製だ。高岡では無料運行とはいかないと思うが、導入されれば、ひとつの目玉になるだろう。

新高岡駅−イオン−前田廟−現高岡駅−古城公園−山町筋−金屋町−現高岡駅−瑞龍寺−新高岡駅という具合に、である。15分間隔、料金百円というのはどうか。これでは採算が取れないから何かの方策はいるが、富山市のライトレールが日中は百円で運行しているのだから、出来ないことはないはずだ。

新高岡駅のコンセプトだが、たとえば東北新幹線の青森駅は市民から意見を募集した結果「縄文から未来へ」をキーワードにすることになった。このように新高岡駅でも市民参加がポイントであり、計画段階からの市民参加が求められる。

私が富山に赴任した平成11年6月に、この地を訪れたとき、田んぼには植えられて間もない稲が水に浮かんでおり、きらきらと宝石のような町だと強烈な印象として残った。そんな素晴らしさを生かした駅となり周辺開発とするべきだろう。

今回、瑞龍寺を訪れたとき、初めて横からも眺めてみた。すると、手前には田んぼがあり、農作業が行われていて、その先にお寺がある。まるで京都か奈良のような風景で感動した。ぜひ、城端線に瑞龍寺の新駅を造ってもらいたいとも思った。

先ほど、金沢駅では大規模なショッピングセンターの話があることをうかがったが、高岡が同じことで競争することはできない。むしろいきなり森の中に来たのではと思わせるくらいの整備とすべきではないか。